【第3章】しつけ・生活習慣の悩みは家庭が育てる!親子で整える「自律」と「習慣化」のコツ


◆はじめに:「ちゃんとできない」は親の悩みの定番

小学生になると、親の「しつけ」に関する悩みも変わってきます。たとえばこんな声が多く聞かれます。

  • 「朝、なかなか起きられない…」
  • 「忘れ物が多い、宿題をしない」
  • 「だらしない。注意しても聞かない」

こうした生活習慣やマナーに関する悩みは、「ちゃんとしなさい!」「もう◯年生でしょ!」とつい怒りたくなってしまいがち。でも、実は“仕組み”や“関わり方”を変えるだけで、ぐっと改善することが多いのです。

この章では、怒らずに・楽しみながら・自然と身につくしつけ&生活習慣づくりの工夫を、家庭での具体例を交えてご紹介します。


◆1. 習慣づけの基本は「仕組みづくり」から

●「やる気」よりも「やれる仕組み」

子どもに何かを身につけさせたいとき、「やる気」を求めるのではなく、自然と“やってしまう”仕組みをつくるのがポイントです。

《実践例:習慣化カレンダー》

準備:白紙のカレンダー or 手作り表、シール、色ペンなど

やり方:

  • 「朝ごはん前に顔を洗う」「帰ったらランドセルを片付ける」など、身につけたい行動を1〜3個に絞る
  • できた日は、子どもが好きなシールを貼る or 色を塗る
  • 週末に「できた回数」を親子で見て振り返り、「〇日できたね!」と成果を喜び合う

ポイントは「完璧を求めない」「失敗しても責めない」「記録を親が管理しない」こと。自分でやれた!という達成感が、次の行動につながります。


◆2. 片づけ・身支度の自立を促す「見える化」工夫

●忘れ物・だらしなさは「意識」の問題ではなく「整理」の問題

「また体操服忘れてるよ!」「明日の準備したの!?」とつい叱ってしまうこと、ありますよね。でも、脳の発達段階から言えば、小学生が“毎日忘れずに準備を整える”のはまだまだ難しい力。

だからこそ、「自分で管理できる仕組み」を一緒に作っていくのが効果的です。

《実践例:持ち物チェック表》

作り方:

  • A4サイズの紙に、「ランドセルの中に入れるもの」「持っていくもの」をリスト化
  • イラストを添えて「見てわかる」ようにする(チェックボックス付き)
  • できれば、子ども自身が書いたり、色を塗ったりして「自分仕様」にする
  • 毎朝 or 前夜に確認。慣れたらチェック表なしでもできるようにしていく

こうした「見える支援」は、ADHD傾向のある子や注意が散りやすい子にも非常に効果があります。


◆3. 時間を守れない・だらだらする子に効果的な“視覚タイマー”

●「あと5分!」が分かると子どもは動ける

小学生は、時計の“時間の感覚”がまだぼんやりしています。たとえば「あと5分で出かけるよ」と言われても、その5分がどれくらいなのか、実感しづらいのです。

《実践例:キッチンタイマー or 視覚タイマーの活用》

  • 宿題:15分タイマーをかけて「集中タイム」→終わったら3分休憩
  • ゲームやテレビ:30分タイマーをセット→終了したら自分で止める
  • 朝の支度:「出発までの残り時間」をタイマーで見えるようにする

※市販の「視覚タイマー(残り時間が色で見える)」や、スマホアプリも便利です。

時間を“視覚化”することで、「区切る」「切り替える」「待つ」力が自然と育っていきます。


◆4. 「忘れ物」「うっかり」に効く“リマインドワード”づくり

●親の言い方を「命令型」から「気づかせ型」に変えるだけで効果倍増

「宿題やったの!?」「明日の準備した!?」
これらの声かけを、子どもがうるさく感じて拒否することも多くあります。

そこで、家庭だけの「合言葉=リマインドワード」を作っておくと、親子の関係もスムーズになります。

《実践例:リマインドワード》

  • 「ランドセルさん元気?」=明日の準備できてる?
  • 「ふろスイッチONした?」=お風呂準備した?
  • 「夜のチェックタイムだよ!」=片づけ・歯磨き・翌日準備などを一括で確認する時間

楽しい言葉にすることで、言われる側のストレスも減り、自分で気づくきっかけになります。


◆5. ガミガミ言わずに“自然とマナーが身につく”しつけアイデア

●ルールは「守らせるもの」ではなく「一緒に決めるもの」

たとえば、食事中に立ち歩いたり、お菓子ばかり食べたがったり…そんな“ちょっとしたマナー違反”も、小学生にはよくあること。

でも、「何度言っても直らない」ことには、親が一方的に決めたルールであるケースが多いのです。

《実践例:マイルールを一緒に決めよう》

手順:

  1. まず親が「困っていること」を正直に伝える
  2. 子どもの気持ちを聞く(「なんでそうしちゃうの?」)
  3. 解決策を一緒に考える(「じゃあどうすればいいかな?」)
  4. 「おうちルール」として紙に書いて貼っておく

【例】
・ごはん中は立たない → 「どうしても立ちたくなったら“立ちますボタン”を押す」(仮想ルール)
・お菓子は1日2つまで → 「今日はどれを食べるか、朝に決めて箱に入れておく」

自分が関わって作ったルールは、子どもも守りやすくなります。


◆6. 自己管理力を育てる「家の中での役割」

●家庭の中で“自分にできることがある”という実感が、生活力につながる

しつけ=注意すること、ではなく、「行動で育てること」こそが本質です。そのためには、“家庭の中の役割”を与えていくのが一番の近道。

《実践例:家庭係をつくろう》

  • 毎週交代で「おはよう係」「食卓並べ係」「ゴミ集め係」などを設定
  • 子どもが名前やマークを書いた係札を作る
  • 終わったらシールを貼ったり、週末に「表彰」してもOK

「自分のことを自分でできる」→「家族のために何かができる」へとステップアップすると、自信と責任感が自然に育ちます。


◆7. 最後に:「しつけ」は“できるようになる”過程を大切に

親が「ちゃんとしつけなきゃ!」と力を入れるほど、子どもは逆に反発したりプレッシャーを感じたりしてしまうこともあります。

大切なのは、「今はできなくてもいい」「でも一緒に育てていこうね」という姿勢。
失敗を責めるのではなく、「どうすればうまくいくか」を一緒に考えるスタンスが、親子の信頼を深め、生活習慣の定着にもつながります。


◆まとめ:生活習慣の悩みに効く!家庭でできる7つの工夫

  1. 習慣化カレンダーで楽しみながら継続
  2. 持ち物チェック表で“自分でできる”仕組み
  3. 視覚タイマーで時間感覚を育てる
  4. 合言葉でやることをリマインド
  5. ルールは一緒に決めて“守りたくなる”ものに
  6. 家庭係で自立心と責任感を育てる
  7. 完璧より「成長の途中」を大切に

次回は【第4章】情緒・感情コントロールの悩みに関する親子実践例をお届けします。

タイトルとURLをコピーしました