【第6章】子育ての迷い・不安:「このままでいいのかな?」と感じたときの家庭でできる対処法


◆はじめに:子育てに「正解」はないからこそ、悩みは尽きない

「うちの子、ちゃんと育っているのかな?」
「叱りすぎたかも…」「ほめてばかりで甘やかしてる?」
「この子の将来、大丈夫かな…」

子育て中の親であれば、誰もが一度は感じる“不安”や“迷い”。
特に、小学生という多感な時期の子どもたちを育てていると、「正しい子育てって何?」と悩むことも多いのではないでしょうか。

この章では、そうした迷いや不安を抱える親が、家庭で自分自身の心を整えながら、子どもとの関係を育てるための具体的な方法をご紹介します。


◆1. まずは「迷って当然」と認めることから始めよう

●不安になるのは「頑張っている証拠」

子育てに「正解」はありません。どんなに情報を集めても、目の前の子どもは“その子だけの個性”を持っているからです。
だからこそ、迷う・悩む・揺れるのは自然なこと。

《実践例:気持ちの「見える化ノート」》

用意するもの:小さなノート1冊、好きなペン

やり方:

  • 毎晩、寝る前に自分の気持ちを一言でもいいので書き出す
    例)「今日は叱りすぎた」「ちょっとイライラ」「うまく話せた!」
  • “よかったこと”も必ず1つ書く
  • 1週間ごとに読み返して、「変化」に気づく練習をする

小さな習慣ですが、「自分の気持ちと向き合う時間」を持つことで、迷いの正体が見えやすくなります。


◆2. 情報に振り回されないために「自分軸」を持とう

●「○○すべき」より「うちの子に合っているか」

SNSや本、他の親の声など、現代は情報があふれています。
でもそれに振り回されすぎると、「これもしなきゃ」「あれも足りない」と不安が大きくなります。

《実践例:わが家の“育て方カルテ”を作る》

構成例:項目内容(例)大切にしたいこと子どもが安心できること/笑顔が多い生活我が子の強み観察力がある/ユーモアがある苦手なこと切り替えが苦手/人の話を聞くのが苦手親の気をつけたいこと急かしすぎない/比べすぎない目標「自分のことを好きになってほしい」

親の“信念”や“子どもへの想い”を文字にしておくと、迷ったときの「戻る場所」になります。


◆3. 子どもとの関係に悩んだら「会話の質」を変えてみる

●叱るより、聞く。アドバイスより、共感。

「ちゃんと聞いてるのに伝わらない」「すぐ反発する」
そんなときは、「言い方」よりも「聞き方」を変えるだけで、子どもの反応が大きく変わることがあります。

《実践例:共感ベースの声かけ》

親:「今日、学校どうだった?」
子:「別に」
→いつものやり取りが続いたら…

親:「そっか、疲れたかな。無理に話さなくて大丈夫だよ」
→“話さない自由”を許すことで、逆に子どもは安心して口を開くことがあります。

【ポイント】

  • 「でも」「だから」は封印し、「そっか」「なるほど」と共感
  • 「どうしてそうしたの?」ではなく、「どんな気持ちだったの?」と感情を聞く
  • 話の途中で“解決”しようとしない。ただ一緒に考える姿勢を大事に

子どもにとって「安心して話せる相手」であることが、信頼関係を深めます。


◆4. 完璧を目指さず「7割でOK」の考え方を持とう

●失敗も含めて“人間らしい親”がちょうどいい

「もっとちゃんとしなきゃ」「子どものために完璧でいたい」
そんな気持ちが強すぎると、自分を責めたり疲弊したりしてしまいます。
でも、子どもにとって本当に大事なのは、“安心できる存在”であること。

《実践例:親の「失敗宣言」をする》

  • 子どもに素直に伝える練習
    例)「さっき怒りすぎちゃったね。ママもちょっとイライラしてた。ごめんね」
    例)「パパも小学生のころ、宿題サボって先生に怒られたことあるよ〜」
  • 親が“完璧じゃない”姿を見せることで、子どもも「失敗してもいいんだ」と思える
  • 「一緒に頑張ろうね」と伝えることで、親子が“チーム”になる

完璧でない親ほど、子どもにとって近い存在になります。


◆5. 自分の時間を「子どものため」としてではなく、「自分のため」に持つ

●親が満たされていないと、子どもも不安定になる

子ども中心の生活が続くと、「自分のことを後回し」にしがち。
でも、親がイライラしたり疲れていたりすると、子どもも敏感に感じ取ります。

《実践例:マイタイム10分習慣》

  • 毎日10分だけ“自分だけの時間”をつくる
    例)好きな音楽を聴く/コーヒーを飲む/ストレッチ/読書/ぼーっとする
  • 「何かをやる」ではなく、「心が休まる」ことを優先
  • その時間は“育児”も“仕事”も忘れてOK

子どものために頑張る時間と、自分を満たす時間。
このバランスが、子育ての持続力を高めてくれます。


◆6. 一人で抱え込まない。“つながり”が不安を癒す

●「話せる相手」がいるだけで、心はぐっと軽くなる

子育ての悩みは、自分の中でぐるぐるしてしまうと、どんどん深刻に見えてきます。
だからこそ、「話す」「共有する」「つながる」ことが心の整理になります。

《実践例:1人だけ“子育ての味方”を見つける》

  • ママ友でも、実家のお母さんでも、担任の先生でも、SNSで知り合った誰かでもOK
  • 自分が“話せる・安心できる”と感じる人に、月に1回だけ話す機会を持つ
  • 目的は“アドバイス”ではなく“共感”。「わかるよ」「大変だよね」で救われることも

孤独は、子育て最大のストレス要因。
「一人じゃない」と思えることが、迷いや不安の解消に大きくつながります。


◆まとめ:迷いながら、笑いながら、一緒に育つ

  • 不安や迷いは「頑張っている証拠」。向き合うだけで十分立派
  • 情報より「わが家に合っているか」を基準に考える
  • 会話の“質”を変えるだけで親子関係がラクになる
  • 親も人間。完璧じゃなくてOK。失敗も共有できる親でいい
  • 自分の時間を大切にすることで、心に余裕ができる
  • 「話せる誰か」がいることで、心が整理され、前を向ける

親の気持ちは子どもに伝わります。
子どもとともに、親自身も揺れながら、悩みながら、成長していく過程を楽しんでください。


次章【第7章(最終章)】では、これまでの章を踏まえて「親子のこれから」をどう築くか、前向きなヒントとエールを込めてお届けします。

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