【第7章】これからの親子関係を育てるために:自立と信頼に向けた7つのヒント


◆はじめに:「一生の親子」から「自立へ向かう親子」へ

小学生の子どもたちは、幼児期の「全面的な依存」から、少しずつ「自立」へと向かう時期です。
この時期の親子関係は、ずっと同じではなく、日々少しずつ変化し続けています。

この最終章では、親が「干渉」ではなく「支援」にまわりながら、子どもの自立心を育て、良好な関係を築いていくための具体的な実践を7つのヒントにまとめてお届けします。


◆ヒント①「見守る」ことの価値を知る

子どもが悩んでいるとき、失敗しそうなとき、「先回りして助けたくなる」のが親心です。
でも、小学生の成長には「自分で考え、自分で選ぶ経験」が不可欠です。

《実践例:困っても30秒待つルール》

  • 宿題がわからない、忘れ物に気づいていない…そんな場面でも、30秒だけ黙って見守る
  • 子どもが自分から声をかけてきたら、すぐにアドバイスするのではなく「どうしたい?」と返す
  • 「失敗も練習」と考え、「転ばぬ先の杖」を少しずつ手放す意識を

【親の心得】
見守ることは、放任ではありません。「あなたならできる」と信じる姿勢です。


◆ヒント②「親の期待」と「子どもの意思」を区別する

「〇〇ができたらいいな」「こういう子になってほしい」
親の期待は自然なもの。でも、期待が強すぎると、子どもは「親の評価」に縛られやすくなります。

《実践例:「〇〇してほしい」より「〇〇したい?」の声かけ》

  • NG例:「ちゃんと挨拶しなさい」「宿題は先にやりなさい」
  • OK例:「挨拶してもらえたら嬉しいな」「どっちを先にやる?」

【ポイント】
「親が正しい」と思うことを押しつけるのではなく、子どもの選択肢として提案することで、本人の意思を育てる。

【親の心得】
“してほしいこと”は、命令ではなく「お願い」や「相談」という形で伝えていくと、子どもが受け入れやすくなります。


◆ヒント③「感謝」と「信頼」を言葉にして伝える

子どもに「ありがとう」「信じてるよ」と伝えていますか?
大人でも「あなたのおかげで助かったよ」と言われたら嬉しいもの。子どもも同じです。

《実践例:日常の中で“ありがとう”を5つ探す習慣》

  • 「お箸を並べてくれてありがとう」
  • 「先にお風呂入ってくれて助かった」
  • 「自分のこと自分でやってくれて偉いね」
  • 「今日、朝から笑ってくれて嬉しかった」
  • 「一緒に話せて楽しかったよ」

【親の心得】
感謝を口にすることは、子どもの“存在そのもの”を肯定する行為です。
「ありがとう」と「信じてる」が習慣化すると、親子の信頼は自然と育ちます。


◆ヒント④ 家庭に「安心できる居場所」をつくる

外の世界でいろいろなことを経験するからこそ、「家」では安心して戻れる場所であることが大切です。

《実践例:家族で過ごす“決まりごとのない時間”を持つ》

  • テレビを観ながらおやつを食べるだけの時間
  • なんとなく隣で絵を描いたり、レゴを作ったりするだけの時間
  • 話さなくても、一緒にいるだけでホッとできる空気感

【親の心得】
家庭は「何もしなくても認められている」と感じられる場所であることが、子どもの安心感につながります。


◆ヒント⑤ 子どもの「夢」や「妄想」に耳を傾ける

子どもの話は突拍子もなくて非現実的なことも多いものです。
でも、「バカなこと言ってないで!」と切り捨ててしまうと、自分の感性や考えを表現することを避けるようになります。

《実践例:子どもが話す夢を“問いかけ”で広げてみる》

子:「将来、空飛ぶ車を作りたい!」
親:「すごい!どんな形になるの?」
子:「羽がついてて…」
親:「それ乗るのに免許はいるのかな?お母さんも乗せてよ〜」

【親の心得】
夢を語れる環境は、自分を信じる心を育てます。「否定せず、広げる」がキーワードです。


◆ヒント⑥ 「やらせる」より「やってみたい!」を引き出す

自発的な行動は、子どもの「成功体験」につながります。

《実践例:「お願い」ではなく「相談」スタイルで関わる》

  • NG:「手伝ってって言ったよね?」
  • OK:「今ちょっと困ってるんだけど、一緒にやってもらえない?」

【ポイント】

  • 指示よりも協力を仰ぐ方が、子どもは動きやすい
  • お手伝いなどは、“ミッション”のようにするとやる気が出る
    例:「今日の任務:お皿をきれいに並べる!よろしく隊長!」

【親の心得】
「やってみたい!」という気持ちを育てることが、自立の第一歩です。


◆ヒント⑦「親自身も学び、変わる姿」を見せる

親が柔軟に変化していく姿勢は、子どもにとって最も強い学びの教材です。

《実践例:月に1つ「親の挑戦」を宣言してみる》

  • 例)「お母さんも今月、スマホを使いすぎないチャレンジするよ!」
  • 例)「お父さん、料理に挑戦してみようと思うんだけど応援してくれる?」

【親の心得】
子どもにばかり変化を求めるのではなく、親も一緒に変わっていく姿勢が“共に育つ家庭”をつくります。


◆まとめ:完璧な親でなくていい。「ともに育つ親子」であればいい

ここまで、子育ての迷いや悩みに対して、家庭でできる実践例を6章にわたって紹介してきました。

第7章では「これからの親子関係」を育てるために、次のことを意識しましょう:

  • 子どもを“信じて見守る”ことが、最大の愛情表現
  • 「自分の人生を歩む子ども」を応援するために、親も成長を
  • 親子は一生続く関係。でも、いつかは離れていく関係
  • だからこそ「今の時間」を大切に、たくさん話して、たくさん笑ってください

◆あとがきにかえて:親も“迷いながらでいい”

子育てに「正解」はありません。
でも、子どもを想い、自分の心と向き合いながら、一歩一歩進むあなたの姿勢は、何よりも価値のあることです。

迷っても、立ち止まっても、悩んでも、
子どもはあなたの背中を見ています。

ともに育ち、ともに笑い、ともに歩む――
そんな親子の時間を、どうか楽しんでください。

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